面接 ~悲哀と喜びの唄~
俺んなかの、とある昔々
ある町のある会社の面接をうけた。
30分ばかりのリモート面接(社長)を受けて
その後、現地担当の方と二次面接を受ける次第となった。
あれ?普通、逆じゃね?
なんで、最初に社長でてくんの?
いきなりすぎて、その時の俺は
マトリョーシカの末っ子みたいな
メンタルサイズになっていた。
しかも横文字ばかり語るような
賢いでしょ?あたし?
って感じのカシコーな女社長と
ひのきのぼうを、火の木の棒と勝手に
解釈し、銅の剣をしばらくの間、装備しなかった小学生時代の俺。
その後レベルアップを繰り返し
Lv30前半になっていた当時の俺は昔とは違っていた。
目算で、かしこさは+8くらいは
されていたのであろう。
彼女(女社長)の言っている事、さらには
その質問の奥に眠る真理や意図までも
俺には汲み取ることができた。
理解はした。
しかしメンタルは、マトリョーシカの末っ子。
緊張という名の、心のマナーモードが
俺の体をブルブルさせやがる。
その震えは口元にも伝わり
ビブラートを少々効かせた発声で
受け答えをする。
声が美輪明宏みたいだと自分で思った。
『だまれ、小僧!!!』
って言ってみてぇーなんて頭の副音声が
聞こえた気もしたが
質問に対して、ひとつひとつ答えていった。
と同時に、相手の感触みたいなのも感じ
(あっ、ここ落ちたな)
と思った。
そのまま30分がすぎて、担当との面接に
移り進む。
なんか疲れた。
そして落ちただろうってのが
俺の心の中の中心で、リサイタルWithジャイアンしていた。
扉が開く。
現地の面接担当が入ってくる。
(あらあら美人じゃないですかぁ~。さっきの女社長は、アラヒフ。からのぉ~、パンツスーツ、メガネにチェーンしてるアラサー美女ぉ~。素敵です。もろタイプです。)
男の心の声は、とても饒舌なのである。
メガネ美女の麗しき所作と
そこから漏れるように流れる豊潤な芳香のパルファムが、俺の身体と心を熱くフランベする。
そして、ピンクレンズ効果によってもたらされるフェニルエチルアミンがレセプターにバシバシ豪速球を送る。
(あぁ、このドタイプの美女と仕事がしてみたかった。だけど、さっきの面接の感じは
100%おちる感じだったなぁ。もー、ふざけた感じで面接したろ、そして前々から考えていた面接の受け答えしたろーやなぃかい。)
互いが、軽い挨拶を交わし、着席する。
幾つかの会話をやり取りした後に
俺が目的とする質問が、彼女の口からでてきた。
『⚫⚫さまの、趣味は何ですか?』
しばらく時間を開け
『趣味は、写生です‼️』
彼女の顔は、ミロのヴィーナスのように
白けた顔で俺を見ていた。
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